エアコンの取付位置

変態です。

 エアコンの設置位置なんて多くの場合は何も言わなくても、設計さんがいい感じの場所に設置案を出してくれると思います…が、家にこだわりがある人ほどハマりそうな意外と奥が深かったりコストに響いてくるお話でした。

 今となっては各部屋1台が当たり前のエアコン、更に最先端のお宅ですと全館空調だったりして各部屋にエアコンですってプクスみたいに言われる時代が来るのかもしれません。(全館空調については思う所が多いのでまた別の機会にでも。)
 とはいえやはり現代の技術やコストでは、個別空調が一番設置性、メンテナンス及びランニングコスト等に優れている訳でして(勿論家のサイズだったり間取りだったりにも因りますが)、個別空調のお宅がほとんどだと思います。

エアコン(室内機)の設置位置

 エアコンの設置位置って大して気にもとめていませんでしたが、だいたいのお宅では「部屋のカド」に「カド側に配管穴が来る様に」設置されている事が多いと思います。最近のエアコンって、特に三菱なんか四角くてテクスチャがあり、カラフルでお洒落なモデルもあったりして目立たず仕事をしているだけでなく、家具として見せるエアコンなんて物も増えてきています。
 ならば、あえて部屋の目立つ位置にとか、最近の間取りの主流である「広いLDK+α(畳コーナーなども含めた一体空間)」を作る上で部屋のスミにエアコンを設置すると効率が悪そうだしと、スミ以外に設置したくなる事もあるのではないでしょうか?そもそも大型窓に一体空間なLDKだと設置する壁が選べないなんてこともあり得ます。

部屋のスミにエアコン(室内機)が設置される理由

 部屋の中だけを見ていると気付きませんが、主な原因は配管、そう外にある訳です。部屋の中央(外壁に接さない壁など)にエアコンが設置出来しづらいのも同様の理由です。エアコンには室外機がセットになっていて、むしろ室外機が本体とも言えます。室外機がコンプレッサーで空気の圧縮を行ったり熱交換をする事で暖房や冷房を行う訳です。
 であれば、この「冷房や暖房のモト」を室内に運んでくるのが「配管」になり、ここが短いほど効率が良くなります。
 補足)…とはいえ、配管が少々長かろうが効率の低下は5~10%に満たないと言われているので、大した事では無いかもしれません。

 もう一つの効果として「工事費用が抑えられ仕上がりが綺麗」「室外機の設置位置に困らない」などが挙げられます。

設置性

 雨樋は勾配がつけてあるため、家のカドあたりで縦樋に接続されます。この縦樋は必須の配管ですので、これに近づけて設置すれば「配管」として認識する物は1カ所となります。外壁のど真ん中にエアコンの配管が走っているより家のカドに寄せてある方がスッキリしますね。

 また、配管の先には室外機が設置される訳ですが、最近の室外機は静かになったとはいえ無音ではありません。窓に近ければそれなりに音も聞こえますし、そもそも窓から室外機が見えるのは景観的によろしくありません。窓や玄関から見えない面に設置したいですので、カドであればそもそも窓がある可能性が低く、かつ設置場所を2つの面から選ぶことが出来ます。

 部屋の中心に付けると、カド部で下方向へ降ろすには横方向へ延ばす必要がありますが、「ドレン」という結露を流す管が含まれるため水勾配が必要となります。外壁には横方向のテクスチャが多いですが、長くなるとその「水勾配」分の傾斜が目立ってきます。

 以上の様に設置性が格段に高くなる訳です。

経済性

 更に経済性として「配管の長さ」が必要になってきます。一般的なエアコンを購入時に付いてくる「基本工事」では配管長が4m以下となっている事が多いです。総二階で2階から真下に配管を降ろせば4m以内で収まりそうですが、少しでも左右に振る必要が出ると足りなくなります。
 また、エアコン配管には「化粧カバー」を一緒に設置する事が多いです。化粧カバーは見た目だけと思われるかもしれませんが、対候性が圧倒的に違います。標準工事ではテープ巻き仕上げが一般的で、耐候テープで各種配管(電源、ドレン、冷媒用)をひとまとめにしますが、これが数年で確実に割れてきます。冷媒管に巻かれている断熱材が剥がれたりして効率が落ちる事もありますし、そうそう取り換え工事をしたくないので総二階部などは特に化粧カバーを採用したいところです。この化粧カバーも、量販店工事相場で1500円/50cm、曲がり部材1カ所:1000円程度かかってきます。短いに越したことはありません。

室外機の設置場所

意外と思いつかなかったのが2階エアコンの室外機設置場所について。室外機取付方法は色々ありますが

 ・ベランダ/バルコニー
 ・総二階なら地面置き
 ・1F屋根
 ・2F屋根
 ・外壁吊り

くらいになると思います。
(上から優先したい順としています。)

ベランダ/バルコニー
 バルコニーは、使う人は使うけど使わない人にとっては本当に使わない住設。よほど拘ってそれなりの面積を取らないと、せいぜい洗濯物を干すくらいにしか使い道が無いと思います。室外機置場とすれば雨風を軽減でき、配管の長さ的にも設置性良好。しっかりと設置できるため振動の影響も少なく、外からも見えにくく理想的です。室外機置場だけとしてみると随分割高な住設になってしまいますが…家の外観的にも素敵ですし、機能的にもオーバーハングは1Fの軒的な意味がありますので、総二階で南面全てに通しでバルコニーのあるお宅をよく見かけますがあれって合理的だったんだなと思う次第です。

地面置き
 バルコニーに置けない場合、地面置きにしてそこまで配管を降ろす事になります。配管が真っすぐ降りていれば、そこまで目立つ事も無く長さも最低限で納めれば梯子での工事が可能なためそんなに高額な工事費用もかかりません。
最近は無いお宅が多いですが写真の一番右のお宅の様に胴差の化粧幕板が盛り上がっていると、ここの処理が難しいです。幕板だけ色が変えてあると更に。セキスイハイムなんかは外壁タイルもユニットですのでどうしてもここは残りますね。パナホームでは化粧胴差が無いため処理の必要がありません。

屋根置き/外壁吊り
 上記の選択肢が取れない場合屋根置きになりますが、風雨に晒される屋根の上はあまりいい環境とは言えません。室外機の寿命は短くなりますし、トラブルにも気付きにくく、対処もしづらい。固定のためにワイヤーアンカーを打つ必要がありますので雨仕舞い的にもデメリットしかなく…出来るだけ避けたいですね。
 外壁吊りも同様で壁に穴が空く上に、壁との距離が保てないため空気の流量が少なくなり効率が落ちます。室外機が古くなれば振動が大きくなって室内に響いてくる可能性があるなどメリットなど何も無く、こちらも出来るだけ避けたい取付方法となります。

変態家のエアコン取付事情

 変態はバルコニーを「使わない」側の人間ですので、1Fの軒だと割り切り採用しました。ならばそれを徹底するべきでしたね…書斎の室外機はここに設置する予定ですので問題ないのですが、寝室側からもバルコニーに出られる様にと勝手口を付けてしまったのが間違いです。ここはバルコニーなんて使わない(使う時には書斎を通る)と割り切ってバルコニーに室外機を設置すべきでした。

 というのも寝室が勾配天井のため、エアコン取付可能なのは西側か、東側のバルコニーに面した僅かな空間のどちらか。自然に考えれば現在の寝室北西位置で妥当なのですが、この面には物干し用のテラス屋根が既に設置されています。
 という訳で、写真の様に地面までエアコン配管を行うにはテラス屋根が邪魔で…となってしまう訳です。パナホームに問い合わせるとテラス屋根のポリカを部分的に取り外して施工する事になりそう(取り外し→復元作業で10000~15000円)との事なので完全に無駄な費用です。勿論建築時にエアコンの取付を行っていればかからなかった費用ではありますが、

 ・使う予定が先の部屋に早々にエアコンを取り付けるのは無駄
 ・パナホームでエアコン購入+設置だとこの15000円なんて比較にならない程高額
・故障や買い替え時にはまた同様の工事を行う必要がある

子供室のエアコン配管穴も、真下に換気扇ダクトカバーがあり、曲がり部材が必要な位置に開けられています。ちょっとは気を使おうや…

まとめ

 変態の細かな拘りが原因で発生した、細かな不満点ではありますが長い目で見ると無駄の多い設計となってしまいました。またエアコンは頻繁に買い替える物では無いとしても、生涯に何回かは入替えるタイミングが来る物です。その時余計な費用がかかりにくい計画としておくと、生涯維持費を抑える事が出来ると思います。
 同じ営業さん経由で建てた会社の同僚宅でも、室外機が2台、屋根に上げられたと聞いて「そもそもこの営業(+設計)がハズレだったのか」とちょっと思いました…

 プランニングの時点ではここまで気が回らない…と思いますが少しだけ覚えておくと良かったと思う事があるかもしれません。

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