高高(高気密高断熱)は冬寒くて夏暑い

変態です。

 またしても釣りっぽいタイトルで申し訳ありません。

 ここ数年の住宅は国の方針で高気密高断熱に舵を取られ、急速にそちらへ向かっています。エネルギー効率のよい高高住宅は消費(エネルギー的にも、ランニングコスト的にも)を抑えられ悪い事なんか何もない魔法の家だ!的風潮になっている気がします。
 実際良い事の方が多いので話題に上がりにくいのですが、あまり期待しすぎるといけませんって話です。奇跡も、魔法もないんだよ。

 さて高高住宅の「ハコ部分」に対してだけ考えてみます。

 水筒(魔法瓶)に例えてみると高高住宅はこの水筒(魔法瓶)の様に、家の中の空気や熱を外と移動させない事を目的としています。高高住宅のスペックで話題に上るC値/Q値は

・C値はどれだけ水筒から水が漏れないか
・Q値はどれだけ外気温に近付きやすいか

を数値化したものだと思って下さい。

 究極的(ありえませんが)に熱の移動が無く、密閉している限りは中の水の温度が変わらない。そんな理想の水筒(高高住宅)が出来たとします。

 でもこの水筒の中身は現在の法規定では2時間で全て、そこらへんに転がしておいた外気温と同じ温度の水に交換するルールになっています。当たり前ですが2時間後には水筒の中身は外気温と同じになります。

中の水を同じ温度で維持したければ、

・2時間で全て入れ替わる水の温度を維持し続ける温調機能
・出ていく水の熱量と入ってくる水の熱量を交換する機能

が必要となってきます。住宅で言えば、上は冷暖房になりますし、下は熱交換換気システムになります。

実際の家ではそこまでの高断熱は不可能ですので、温度調節をしなければ…

・夏場は屋根や壁が熱される事により室温が上昇。2時間の空気交換で排熱が追い付かず、外気よりも室温が高くなる事がある。更に高断熱により一度熱された室内は強制排気をしないと夜になっても外気より高温が維持される。
・冬は晴天で温かくても室内までその温度が入って来づらく、日陰である室内は外気温とほぼ同じ。体感的には日照が無い分室外よりも寒い事も。

 理想の水筒で例えましたが、現実的にはそこまでの断熱は不可能ですので上記の様に空気の入替えによる損失以上の温調が必要となってきます。(既に空調されている状態なら家自体が持つ熱量があるので、中の空気が入れ替わったから家が温度になるとか、そこまで極端な事にはなりません。でも逆に言えば、空調スタート時には「空気」+「建物」の温度を設定温度まで変化させる必要があるため、空気だけを温調するより大きなエネルギーが必要となります。)
 少々乱暴で極端な例でしたが、期待しすぎるとこんなはずじゃなかったという事になりかねません。あくまで高高住宅といってもハコだけで万能ではなく

・高高住宅に適した設備が必須
・従来の住宅同様に立地も重要

と言えると思います。

 高高「住宅」ですので、設備の無い物は「ハコ」であり「住宅」と言わないというのは至極ごもっともです。ですが、この適切な住設の有無にかかわらず「高高住宅」と謳っているHMが多いのが現実です。高高住宅を生かすには適切な住設が必要であり、この住設が各HMのウリというか差別化である訳です。各社上位商品でセントラル空調+セントラル換気の採用が増えていますが(パナホームだとカサートプレミアムなど)上記の様な理由から、これからもっと高気密高断熱化が進んだ先には一条工務店の様な全館床暖24時間稼働というスタイルに行きつく様に思います。(ダクト式全館冷房はまだデメリットが多く変態はあまり評価していません。)

 立地については、思ったような土地が得られるかは難しいと思いますが、現状の高高住宅の仕様では通年で見ても

・陽当たりが良い方が有利

でないかと思います。冬よりも夏の快適性を優先したいとか、家に居る時間がといったライフスタイル次第の部分もありますので、あくまで一般論としてですが。

日本は最高気温約41℃/最低気温-40℃…とこれは極端すぎますので(住宅も住設もそんな地方特化型でしょう)、変態の住む関西の平野部では

 最高:夏40℃
 最低:冬-5℃

空調の設定温度
 夏 :28℃
 冬 :20℃

これくらいでしょうか。高高住宅では基本的に燃焼系の暖房は推奨されないので電気による空調とします。

 夏 :外気温から-12℃
 冬 :外気温から+25℃

の温度調整が必要となります。省エネ設備として採用の多いヒートポンプ式空調は外気温との温度差があるほど効率が低下し、暖房時には室外機の凍結による損失も発生しますので冬の方が特に不利となります。エアコン暖房が冬に弱いと言われる所以ですね。(+湿度が低下するという側面からも)
 この様に、いくら日本の夏が近年暑いと言われても冬に比べればエネルギー消費は格段に少なくて済みます。「家は夏を旨とすべし」などとも言われていますが高高住宅に於いては冬を重視すべきだと思います。
 冬場でも太陽の輻射熱はなかなか馬鹿にできないもので外気温が低くても室内を暖めてくれます。陽当たりがいい立地だと、高高住宅といえども暖房の効き具合は随分と違うでしょう。

 ここまでを前提として、実際に1年間パナホームで暮らしてみた感想と、本当にそうだったかを次回から書いていこうと思います。

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