変態です。
家のプランニングが夢を見る作業であるならば、住宅ローンのプランニングは現実を作る作業。どちらも大切ですが、より失敗が許されないのが住宅ローンのプランニングです。金融関係の事は素人には解りづらく、プロの意見に頼りたくなるのは解りますし実際そうすべきだと思います。
とはいえ、それなりには自分で方針や借入限界を決めておかないと、住宅ローンの仕組み上債務者がどうなろうが、債務者以外「誰も損をしない」様に作られています。ハウスメーカーもライフプランナーも(貸す側の)限界まで借りて立派な家を建ててくれる事を望んでいます(勿論、ライフプランナーの担当した債務者が頻繁に破綻していたらさすがに問題ですが)。
味方は居ないと思って、自分の事は自分で守れる様に覚悟して臨んで下さい。
住宅ローンの基礎知識
住宅ローンに必要な書類
パナホームや銀行から必要書類のチェックシートが用意され、集めて来る様に言われます。特に難しい書類もありませんし、取得スケジュールがタイトになるものも無いと思います。
当人準備
当人所有
・実印
・運転免許証やパスポートなどの身分証明書
・健康保険証
市町村役場発行
・住民票(銀行によって発行後日からの有効期限有り)
・印鑑証明書(銀行によって発行後日からの有効期限有り)
・住民税決定通知書または課税証明書
勤務先発行
・源泉徴収票
パナホーム準備
・土地の登記簿謄本(銀行によって発行後日からの有効期限有り)
・土地の公図
・地積測量図
・工事請負契約書および建築工事見積書等の工事明細の分かるもの
・建物図面
・建築確認済証または建築確認通知書(建築確認申請書第1面~第5面を含む)
・検査済証
揃える物が多そう…に見えますが図面や検査証などはパナホーム側の仕事ですし、ここまで来られた方なら迷う事も無いでしょう。むしろ「最初に言っといてくれればまとめて取ってきたのに…!」って思う程度の物ばかりです。とはいえ有効期限を切られている事が多い様なので、結局この段階に来てから取るしかないんですよね…
住宅ローンに出てくる言葉とソニー銀行(2017年時点)の場合
団体信用生命保険
必須という訳ではないのかもしれませんが、貸す側がとりっぱぐれの無いように加入必須と言われれば従うまでです。「債務者が死亡した場合に残債がチャラになる保険」で、保険料は残債に料率を掛けた値なので残債が減れば保険料も減るという物です。
・ソニー銀行の場合「団信加入必須だが保険料の支払いは発生しません」
団信+疾病特約
債務者死亡でチャラになっても遺族にしかメリットがありませんし、まだ死亡ならマシですが働けない様な大病を患うと悲惨です。という訳で、金利を上乗せする事で特定疾病を罹患した場合に保険金でチャラになるという特約です。
・ソニー銀行の場合「3大疾病保障特約」があり「がん/心筋梗塞/脳卒中」の罹患で発動されます。年利0.3%上乗せ。
保証料
部屋を借りる時ですら保証人が必要な様に、住宅ローンにも万一があった時のために保証人が必要なのですが金額が金額だけにそうホイホイ保証人になってくれる人などいません。そのため保証会社に「保証金」を支払い保証人になって貰う訳です…が、なら何かあった時には保証会社が弁済してくれるんじゃないの?と言いたくなりますがそうでもない様ですね…
一括払い、金利上乗せ型などがありますが借入条件ごとに計算が変わるため…相場というのが難しいですが最低でも数十万円~100万円オーダーの金額が発生します。
・ソニー銀行の場合「保証料は必要ありません」
事務手数料
借入金額の何%といった借入金額によって決まる「定率制」タイプと、金額固定タイプの「定額制」があります。借入金額が少ない場合は定率制、借入が多ければ定額でいいじゃないと言われそうですがそうは問屋が卸しません。
・ソニー銀行の場合(別途:印紙代/登記費用等実費)
「変動セレクト」の場合「定率制」で借入金額の2.16%
「変動/固定」共に「定額制」で43200円(税込)
金利
上記の事務手数料はこの金利(プラン)とセットになっていて、手数料が高いと金利が抑えられていたり(・ソニー銀行の場合「変動セレクト」)、逆に手数料が安いと金利が高かったり(・ソニー銀行の場合「変動/固定」)。一般的に前者は借入金額が多く長期返済予定の場合、後者は借入金額が少なく短期返済を目指す場合向きでしょうか。
ともあれ、「固定金利」であれば、自分の借入金額と返済予定期間から計算すれば最適解は出せます。
「固定金利」
固定金利といえば誰しも真っ先に思いつくのが「フラット35(S)」だと思います。住宅金融支援機構が各銀行に委託販売している様な商品ですので、どこで契約しても金利が変わらない上に抑えられています。そのため実質上記の様な「事務手数料」や「特約」などが銀行の儲けとなりますので、この部分が有利な銀行を選べばよい事になります。変態はフラット35(S)ははじめから予定に無かったため検討すらしておりません。
「変動金利」
さて固定金利が出ましたので対するは「変動金利」、情勢に従って金利が変動するタイプですね。「未来予測が立ちにくい」「金利上昇のリスク」といったデメリットがある分、「金利が下がるかもしれない」「(固定金利に比べ確実に)金利が低い」というメリットがあります。超低金利の昨今、底打ちした変動金利が続き、これ以上金利が下がる事はさすがに望むべくないですが上がる材料も少なく「しばらくは」心配は少ないです。とはいっても住宅ローンの様な長期契約で、金利が低いからとホイホイ選択していい金利タイプではありません。
また変動金利といえば「5年/1.25倍ルール」だけは覚えておかないといけません。金利が変動して急激に上がろうとも、5年間は返済金額は変わらず、5年後に変更されても元の返済金額の1.25倍までしか上げてはいけないというルールです。
建前上は債務者保護のためで、急激な返済金額の上昇を抑えて生活への負担を軽減する措置なんですが、逆の見方をすれば破綻させずに返済期間を長くして利息を増やすとも取れる訳です。返済計画と金利の上昇するタイミング次第では、ちっとも元金が減らない状況にもなり得ますので…変動を選ばれる場合には定期的に金利の確認が必須です。
繰上返済手数料
今となっては当然の様なオプションですが、ソニー銀行の場合10000円以上から繰上返済手数料無料で行えます。こういった細かい経費も含めて検討したいです。
金利と住宅ローン減税
住宅ローン減税は年末残債の1%分が税金から還付されるのは皆さんご存知ですね。なら1%以下の金利であれば、繰上返済しない方が利鞘が出るんじゃ?と思われるかもしれませんがそうでも無い訳です。これについては各々の条件次第…となりますのできちんと検証が必要です。変態家の場合でシミュレーションしてみましょう
住宅ローン控除シミュレーション
控除額を出すだけだと、「価格.com」をはじめ色々なサイトでシミュレーターが用意されています。今回は、繰り上げ返済を含めますので
「繰り上げローン返済」を使ってみました。
モデルケース:変態家
年収:560万
扶養家族:配偶者あり(16歳以下 1人) 扶養家族総数…1人
住宅ローン開始:2016年4月
返済期間:20年
借入金額:1000万円/月45000円返済・ボーナス払い無し
金利:0.799%(変動)
(借入時点での)満額還付予定金額…75.4万円
A:繰り上げ返済無し
金利が変動無し(まずありえないでしょうが)とすれば20年間で総支払利息は82.3万円。▲6.9万円で20年間借りられると思えば安いものでしょう。
B:10年後、満額還付後一括繰上返済
変態の予定しているプランです。10年間住宅ローン控除の満額還付を受けた後、残債を一括返済とする場合、2026年1月時点で残債が532万円程度、総支払利息は60.0万円程度となり15.4万円のプラスになります。
C:毎年1月に50万円ずつ繰上返済した場合
2026年5月完済で総支払利息は41.6万円。繰上返済する事で残債が減るため、住宅ローン減税の還付は52.3万円に減少し、10.7万円のプラスになります。
まとめ
住宅ローンには各社多種多様な商品はありますが、借入予定金額や返済期間などの「借入条件」によって最適解が変わってきます。多くのシミュレーションを行う事で最適解に近づけていく事は可能ですが、前提の「借入条件」の最適化が非常に難しいです。これほど低金利でお金を借りる事の出来るローンはありませんので、借りられるだけ借りるという選択も正しいと思いますし、極限まで借入を減らして利息を減らすというのもまた正解でしょう。
そういった借入の方針はプロのアドバイスは勿論の事、自分の性格やライフスタイルを振り返ってみる事も大切だと思います。
0 件のコメント :
コメントを投稿