長々と前置きしましたが今回は施工編です。
まずワックス剤の選定のため、シートフローリングの特性の補足と、パナホームで採用される事の多い、ベリティス床材/建具について確認します。
シートフローリングの特性
構造は「木質系基材(木屑などと樹脂を混ぜ高圧縮成形したもの、もしくは複層合板)」に「木目を印刷したシートにオレフィンシート層、EBコート層を施した表面層」を貼りあわせたフローリングです。EBコート層とは電子線を照射する事により重合反応させ硬化する樹脂(電子線硬化型樹脂)層の事で、高い耐水性、耐薬品性、耐摩擦性、耐光性といったフローリング向けの特性を持っています。乱暴に言えば透明な樹脂でラミネートされている感じと思って頂ければ上記の能書きも納得いくと思います。ただ、こういった特性を持っているのはあくまで表面の「EBコート層やオレフィンシート層」であって、その下の印刷層や木質系基材層は水を含めば膨らんだり紫外線に当たれば退色し水にも紫外線にも非常に弱いです。それをコート層で守るという設計思想ですね。
パナソニック:ベリティスの特徴
変態家でも採用している、パナソニック:ベリティス床材にはEBコートの文言が無く、積水化学:アレルバスター、耐摩耗セラミック配合ハード塗装となっていますので上記の様なEBコート層は無さそうです。(最表面にアレルバスターが出ている必要がある。またベリティス建具にはEBコート層表記がありますのであえて分けていると考えて良さそうです。)どの程度の膜厚でどの程度の耐久性かについてのデータは残念ながら見つけられませんでした。ハード塗装があるので、そこを破られない限り優れた性能を発揮できますが、「水回りに使えない」スペックからも、フローリングのユニット同士の合わせ目や、物を落とした傷などから浸水すると悲惨な事になりえます。フローリングワックスでもそれを防げるだけで随分と安心感が出ると思います。
ちなみにベリティス建具は「EBシート建具」の割になかなか質感が良いと思います。オレフィンシート層に絵柄に合わせた(節のある所には節っぽい)木肌感のあるエンボス加工がされており、「木を目指したのではなく、木を超える事を目指しました。」の文言は言い得て妙で、木より木らしい(天然物に比べて綺麗過ぎる)シート建具となっています。
対してベリティス床材は、木肌感は無く全面均一に非常に細かい凹凸のサラっとしたテクスチャになっています。
どちらも木目(絵柄)パターンが非常に豊富で、シート製品にありがちな同じ絵柄が目に付いて感じる違和感がありません。
ハイテクフローリングコート施工
使用するコート剤は、シートフローリング各社推奨品の「リンレイ:ハイテクフローリングコート(1L)」です。同社製品含め、今までいろいろ使ってきましたが本製品は初めてです。一般家庭向けフローリングワックスの施工方法
・掃除機をかけ一晩寝かせる
・水拭き(徹底するならアルコール系で油分を取る。)して乾燥させる
・フロアワックス(コーティング)
の手順となります。
なぜ掃除機がけ後寝かせるかといいますと、掃除機をかけるとどうしてもホコリを巻き上げます。すると水拭きが終わってワックスがけをしている処にホコリが降って来て、ホコリがくっついたワックス被膜が出来ます。ホコリに気付いて取ると、クレーターが出来るんですよね。
今回は初めてフローリングワックスを施工するため、公式の施工手順の様な床クリーナーでのワックス除去は必要ないので水拭きのみとしました。きっちりやるのでしたら、乾燥も早くなり油分も取れるのでアルコール系を希釈して拭けばいいでしょう。
コーティング作業は出来るだけ専用モップなどを使い「立って手早く」行う事をおすすめします。時間がかかると、コート剤の硬化が始まるため布跡が残りやすく、また四つん這いでやると疲れますし膝がフローリングに当たって痛くなります。マイクロファイバー系が、拭き跡が付きづらく仕上がりがいいですが、新品は抜け毛が怖いので一度洗ってから使うなりしたいです。
コーティングした箇所を踏まない様にドアから一番遠い床から順に、フローリングの板目を目印にエリアを区切りながらドアに向かって下がりつつ処理していくといいです。
一度に含ませるコーティング剤は多すぎるのは良くないですが、少なすぎるよりは拭き後が消えやすく硬化までの時間が稼げるため、慣れないうちはやりやすいかもしれません。窓を開けて換気しながらしたくなりますが、ホコリを付けたくないので処理が終わったらドアを閉めて硬化まで放置しました。乾燥中は白化を避けるため扇風機などで空気の流れを作ってやるのが基本ですが、変態の施工した5月ではそれも不要でした。(季節にもよります。真夏や真冬、梅雨時の様な極端な季節は除きます)
施工
美装が入った後で綺麗なハズ、まだ荷物も無くゆっくりとワックスの硬化を待てるこの引渡しの日が一番ワックスがけに適した日…!と勝負をかけたのですが…散々やらかしている問題児の美装屋、やはりフローリングの掃除もいい加減で美装後だと思って掃除機がけを省略したのが仇となり、出るわ出るわ砂っぽい感じ。多分石膏ボードなどの切り粉だと思いますが、これのお陰で最初水拭きに非常に手間取る事になりました。
なんとかワックスがけまでこなしましたが…狭いと思ってもLDKはそれなりに広く、硬いフローリングの上に長時間膝を突くのはよろしくないですね、しばらく痛かったです。またどうしても作業が雑になりドア付近のスミにクレーターが何カ所か出来てしまいました。
ハイテクフローリングコートの評価
今回初めて使ったこの「ハイテクフローリングコート」ですが、水性で伸びもよく乾燥時間にも猶予があるため扱いやすいです。コーティング被膜は強くはないですが、逆に失敗した時のリカバリーが簡単とも言えます。というか非常に施工性が良かったのでこれは失敗しようがない気がしますね…基本的にハイテクフローリングコートの様な水性ワックスは、被膜がそんなに厚く出来ませんし弱いので、初回ワックスがけは2回がけが推奨されています。1度塗りで出来の悪いところが少々出来ても、ホコリだけ取り除いて二度目をかければ(わざわざ失敗したコート面を剥離しなくても)ほぼ目立たなくなります。被膜が薄いメリットは、一部だけ薄くなったり剥がれたりして、そこだけ再施工しても被膜の段差が少ないため目立ちにくく、補修的に使えるのがいいところだと思います。
肝心のコーティングの効果ですが、モノを落としてそれに耐えられるようなコーティングは存在しません。ではスクラッチ耐性についてはというと、膜厚計などが無いので説得力のあるデータは出せませんが、大人二人幼児1人の変態家ではメーカー公称6ヵ月のスペックですが、一番歩行量の多い箇所でも1年程度で剥離する事はありませんでした。
また、施工後は非常に平滑性が高い事もあり、スクラッチ傷は発生しにくい様です。特に施工直後は滑りやすいため、玄関や階段に繋がる廊下など段差のある箇所への施工は避けた方が良いと思います(階段の踏板なんかは勿論論外)。慣れるまで何度か滑りそうになりました。
光沢感も「少し光ったかな?」程度で嫌みが無く元のフローリングの質感を邪魔しないと思います。(それぞれ別の部屋で照明の機種が違うためホワイトバランスが…)
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