オープンハウスのメリットとリスク(訪問する側)

変態です。

 オープンハウスのメリットとリスク、当たり前ですが「訪問する側」と「迎える側」で全く違ったものとなります。初めて家を検討される場合、オープンハウスに参加される事は多いと思いますし、経済的な観点からもハウスメーカーがオープンハウスを希望すれば承諾される方も多いと思います。

ハウスメーカー側のメリット

・展示場の維持だけでも大変なコストな上に、自社物件だけで様々なニーズの実例を展示する事は難しい。維持費無しに色々なパターンの現実的な物件の提案を出来る。
・物件近隣の住宅ニーズや潜在顧客の情報が得られる。
「オープンハウスをした事による値引き」とすることで、値引きの根拠が出来、信用性を上げる事で更なる値引きの要求を防ぎ、顧客満足度を上げる事が出来る。苦労(オープンハウスのリスクを受け入れる)して手に入れた結果(値引き)は価値あるものだと信じたくなる心理を突いていますね。

 では順に訪問する側、迎える側の観点で見ていこうと思います。

訪問する側

メリット
 ・夢溢れる展示場とは違ったリアリティのある広さや間取り、仕様が見られる
 ・カタログスペックや図面などの平面と、現実の感覚の擦り合わせが出来る
 ・展示場仕上げとは違う現場仕上げのクオリティが見られる
 ・展示場に比べれば敷居が低く、入りやすい
 ・販促品が貰える
 ・(担当を選べる可能性がある)
 ・(施主に話を聞けるかもしれない)
 ・etc...

デメリット
 ・個人情報がハウスメーカーに伝わる

リアリティ

参加する側はメリットが非常に大きくデメリットはほぼ無いと思います。変態も何度か見学させて貰いましたが、やはりそのメーカーの出来得る限りの上級仕様で建てられたモデルハウスが参考になる人はそれでいいのですが、もう少し「普通」でいい方にはあまり参考になりません。「オープンハウスをしよう(安くなると嬉しい)」と思う家というのは、予算が潤沢にあって総工費など気にしない!なんて事は少ないため非常に参考になります。(そういう意味でも、一条工務店など、モデルハウスがほぼ標準仕様で建てられれているハウスメーカーというのは好感が持てます)。

平面と現実の感覚の擦りあわせ

真っ先に思いつくのは、何坪の家がこれくらいの大きさだって感覚が養える事ですね。何件か見て行けば、自分の求める広さが何坪かが解って来て、もう一段階進めば家の外観を見ただけで延床面積がだいたい解る様になります。そうなってくると、住宅雑誌やら実例集で「凄く立派なお宅でお高そうなのに、延床面積で見ると意外と小さい。(ルーフ)バルコニーや吹き抜けが広いからか…!」などが気付ける様になってきます。坪単価がいかにあてにならない指標かとかが解ってきます。
 オープンハウスを見に行っている段階では、なかなか細かい所まで目が行かないというか、上っ面ばかりに目が行ってしまいがちです。部材の質感がどうだの住設がどうだのといったものは、あまり見ないでいいと思います。その辺はどのハウスメーカーと契約しても、多少の費用の多寡こそあれど基本的にどこでも入れられます。
 大切なのはそのハウスメーカー特有の情報である、「標準仕様で何が付く」のか、そして「工事の仕上げ」がどうか。「間取りや、そこに何kWの空調が何機ついている」か、そういった所を見て欲しいです。標準仕様が良ければいいものに変更しようとした時には差額は少なくて済みますし、最悪標準仕様で諦める事もしやすいです。ダウンライトは機材は安くても取付費用が発生しますので、何発まで標準に入っているかとか、コンセントが何個までかとか。まだ空調がついていなくてもコンセントは来ているはずなので、何カ所付いていて、それが100Vか200Vかを見るのも、どの程度の熱設計がされているかの指標になりますしね。

現場仕上げのクオリティ

単なるイメージと言われるかもしれませんが、変態の経験では「工事の仕上げ」のクオリティ一つで、工事全体がどれくらいしっかり行われる会社かっていうのは感じられると思います。見える所がしっかり出来ない仕事の見えない所をどう信用しろと言うのか。
見どころは既製品をそのままポン付けする様な個所でなく、大工仕事の発生する窓枠や建具、玄関框、巾木なんかの接合部分(カド)あたりが解りやすいです。とはいえ、合理化のためこういった接合部分には樹脂カバーなんかを付けて隠す様になっているハウスメーカーが多いですが…
 見えない所といえば構造見学会なんてのも時々見かけますが、素人が見て構造的に強いかなんてことは解りません。大空間を取ろうとすればその部分は柱の無いスッカスカになるし、それを支える太い柱や梁を見て「こんなに太くて丈夫そうでしょう!柱は3.5寸じゃなくて4寸使ってますよ、それに金物工法ですので強靭に接続されています!」とか説明された所で、もっと細い柱と薄い板を細かいスパンでクギ打ちしていくツーバイの方が丈夫だったりしますし。そもそも屋根や外壁の仕様次第で支えるべき重量が全く変わって来ますし。まぁ見せられる程きちんと工程管理していますよってくらいでしょうかメリットって。

敷居が低い 

沢山の見学者が来ていれば長時間引き留められる事もないので、いきなり展示場に行くより敷居が低いかもしれません。展示場だとアンケートを書かされた上、案内コースを回った後構造部材のカット見本なんか見せられ、沢山のカタログを渡され…といった、まあこれが醍醐味といえばそうなんですが。
 でも敷居が低いから…と最初に行くのは大変良いのですが、是非実際にプランを詰める段階になった時にも一息ついて、改めてオープンハウス巡りをして欲しいです。プランを煮詰めていくと、つい自分たちの希望(+ハウスメーカーの売りたい物)に一直線といった感じに視野が狭くなってしまいます。知識も増えてきているでしょうから、その時点でのプランを俯瞰で見直す意味でもオープンハウスをもう一度回ってみるとその家のプランの思いなんかが汲み取れる様になっていると思います。

その他いろいろ

担当が選べるかも
 ハウスメーカーの展示場に入ると、最初に名刺を渡してきた人が担当になるというルールがあります。まぁそうですね、売れば官軍売れなきゃ賊軍の世界ですから。オープンハウスは複数の見学者が来た時のために営業が数人待機しているので、唯一こちらから営業を選ぶことが出来るチャンスとも言えます。とはいえ話しかけたら最後、名刺を渡されるので見た目の雰囲気とかしか判断材料が無いですが…一応他にどんな営業さんが居るか覚えておけば、担当された営業さんとどうしてもウマが合わない場合に候補を挙げる事ができます。

施主に話が聞けるかも
 どの方が施主か普通は解りません(そもそも居ない可能性も高い)が、施主の意見が聞けるという事をウリにしているオープンハウスも散見します。とはいえ、完成直後の有頂天時に有用な意見が聞けるかと言われれば甚だ疑問ではありますが。この点については可能であれば既に住まわれて数年、といったお宅を見学させてもらった方がよいと思います。

お土産が貰える
 色々な撒き餌で見学者を募っています。撒き餌欲しさに行くのはちょっと…と大変奥ゆかしく感心で日本人的、そんな気持ちは是非大切にして頂きたいですが、ハウスメーカーからすれば賑やかしでもいいから来て欲しいので大丈夫です。私たち施主からの売り上げで出ているもので、そしていつか施主になったら今度は負担する側になるだけですから順番です。

デメリット

デメリットは些細な物で、どうせ家を検討するならいずれ個人情報は伝えなくてはならないものです。DMが来まくったり電話がかかってくるなど恐れずとも、DMなど受け取り拒否すれば来なくなりますし。脈無しにコストを延々かけ続けられるほど悠長なハウスメーカーばかりではないですから心配無用です。

 オープンハウスは展示場に行くよりよほど実があります、是非出来るだけ場数を踏んでください!

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